― 本当は見えていたのに、見ないふりをしていた ―
がむしゃらに動いて、
たくさんの価値観や人と出会って、
自分のピースを拾い集めているつもりだった。
でも、ある時から
その“ピース”の中に 小さな引っかかり が混ざり始めた。
それはまだはっきりした「怪しさ」じゃない。
でも確かに、何かが変だった。
◆ |周囲の“普通の心配”が、コミュニティでは“敵”扱いになった
やりたいことが見えてきて、
私は素直に周りへ話すようになった。
返ってきた言葉は、反対ではなかった。
「あなたならできると思うよ。でも少し心配。」
「挑戦するのは良いこと。でも無理はしないでね。」
どれも私を大切に思ってくれる人の、
あたたかい言葉だった。
でも、それをコミュニティのメンバーに話すと空気が変わった。
「周りに話さないほうがいいよ。」
「成功したら見返せばいい。」
「心配する人はあなたの足を引っ張る人だよ。」
……あれ?
同じ話なのに、全く違う受け取られ方。
ここで私は、初めて胸の奥に
“ちいさな違和感” を覚えた。
でもそのときの私は、
成功したい気持ちの方が先に立っていて、
その違和感にふたをしてしまった。
◆ |B君の“急成長”と“急反対”が見せてくれたズレ
あの頃、私が興味を持っていたのがB君の変化だった。
最初は自信なさげで、言葉も詰まりがちで、
どちらかといえば影に隠れるタイプ。
それが数週間でまるで別人のように堂々とし、
夢を語り、キラキラしていた。
「すごいなぁ」
「どうやったらああなれるんだろう」
そう純粋に思っていた。
でもその裏で、こんなことが起きていた。
「親に大反対されて、通帳取り上げられました。」
普通なら心配されても仕方ない状況。
でもメンターは笑ってこう言った。
「え、新しい通帳つくればいいじゃん!」
……軽い。
あまりにも軽すぎる。
心にひっかかる。
でも、言語化できない。
このときから、私の中で
“小さな点” が二つになった。
◆ |そして自分の“本心”にも薄いヒビが入った
ここで決定的だったのが、
自分の本当の気持ちを見つけてしまった瞬間。
私はね、
反対されるようなこと、心配されるようなことは本当はしたくない。
挑戦はしたいけど、
大切な人たちが不安で眠れなくなるような生き方は望んでいなかった。
私の周りの人たちは、
優しく諭すようにこう言ってくれていた。
「人生一度きりだから、やりたいならやればいい。
でも、そう言って成功した人を私はあまり見たことない。」
厳しいわけじゃない。
現実的であたたかい意見だった。
それが“普通の感覚”だと思っていた。
でもコミュニティでは、
その“普通の心配”がこう変換される。
「それはあなたを止めたい人の言葉だよ。」
「成功する人は、反対されても突き進むんだよ。」
「周りを気にしてるうちはまだ覚悟が足りない。」
……あれ?
さっき拾ったピースと、
本当の私の価値観が
だんだん 噛み合わなくなっていく。
この違和感も、
私は見えないふりをした。
止まってしまいそうで怖かったから。
自分の不安の正体を直視するのが怖かったから。
◆ |違和感は、静かに、確実に増えていった
怪しい、とか
危険、とか
洗脳、とか。
大きな言葉はまだどれも浮かばなかった。
でも、
「なんか変だな」
「これって普通なのかな」
「私、少しずつズレてきてない?」
そんな小さな点が
ぽつ、ぽつ、と増えていき……
やがて、無視できない “線” になっていく。
◆ |そして、不安が見えてしまった
ピースを拾っているつもりが、
その中に“自分のものじゃないピース”が混ざり始めていた。
未来を作るために走っていたはずなのに、
気づけば
不安だけが静かに膨らんでいた。
次の章で、私はその“不安”と向き合うことになる。
(続く)



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